店長奮闘記~今年最後の営業日に⑤~
店の防犯カメラを見るために僕は警察官のお2人と一緒にホテルの管理室に通され応接室で支配人を待っている。
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ホテルの支配人は定年後の再就職で来られた方で日頃から顔をあわると明るく声を掛けてくれ経験の足りない僕に色々とアドバイスをしてくれる人だ。それだけに今日は、いつも優しく接してくれる支配人に会わす顔がない。
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しばらくすると支配人が現れた。
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いつもの黄金色のツヤのある顔ではなく今日は青ざめ土っぽく感じる。「僕は本当にとんでもないことをしてしまったんだ。」と我に返ったかのように突然重苦しい空気に押しつぶされそうになった。
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警察の方は慣れたもので、早々に防犯カメラを見せて欲しいと切り出した。
「いやぁ、実はカメラが壊れてまして…。」
突然、誰もが耳を疑う言葉を支配人は口にしたのである。
「えっ。映ってないの?」
「は、はい。 まったく映ってないんです…」
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半ばあきれたようにも聞こえる警察官の問いに支配人はチカラなく答えた。警察の方が支配人に軽い調子で色々と聞いていたが、僕は込み上げてくるものを押し殺すのに精いっぱいで耳には入らない。
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どうやら防犯カメラの映像を一応確認するようでみんなが動きかけた時、支配人はそっと僕に「ごめん。」とつぶき背中をおした。
防犯カメラには見事なまでにお店のレジ付近だけが見ることができず、外からの防犯カメラに外国人が通った姿とレジでやりとりをしているようにも見える影が映っている程度で確固たる証拠はとれなかった。
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それでも佐藤くんが言っていた時間帯に外国人がお店を出入りしていたという事実が確認できたので救われたと少しホッとした僕でいた。
しかし警察や会社は「佐藤くんとその外国人が仲間かもしれないという可能性は否定できない」と疑いは完全には晴れなかった。
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それでも警察の方にはレジ回りの現場検証と指紋採取をしてもらい一応事件としてもらったが、とんでもない年越しとなってしまった。僕と池田さんと佐藤くん3人はとても「良いお年を」なんて言葉は口に出せずにお店を後にした。
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その後、数日間は僕と佐藤くんと池田さんは本社に呼び出され明らかに犯人と疑っていますよ的な質問を受けた。支配人はどんな話をされたかは分からないがきっとかなり厳しい処分になったに違いない。
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犯人も逮捕されず佐藤くんも池田さんも支配人も憂鬱な日々を淡々と送ることしかできないでいた。
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新しい防犯カメラがついた頃、幸いなんとか保険がおり売上金は保険会社から補てんされ正直言って肩の荷がおりた。僕は真っ先に池田さんと佐藤くんを呼びこれを伝えると、久しぶりに2人の顔がゆるんだような気がした。
ただ、大切な仲間に傷が残ったのは紛れもない事実である。
今回はハッキリいって僕のミス。飲食店にとってもっとも売上が上がる12月に大入りの連続で僕自身が浮かれていたし僕は凄いと勘違いしていた気の緩みが一番の原因だったと言える。
それに、僕は教えるということを勘違いしていた。
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僕は佐藤くんに単にレジの操作方法やお客様への受け答えの仕方を教えただけにすぎず、その心や危機管理(危険回避)については一切教えていなかった。テクニックではなくその意味やその心を教えることが一番大切で、それを知っているからこそどんな状況でも臨機応変に対応ができ危険から回避することもできるし、お客様のかゆい所に手が届く接客サービスができるようになるという事を僕は理解していなかった。
そして、明らかに浮かれている店内の雰囲気に気づいていながらそれを許した甘さが結果としてスタッフみんなを傷つけてしまったのです。
それは彼らを甘やかしたのではなく僕が僕自身を甘やかしたという事実に他ならない。僕は、自律して自立するべきだと奮起するのであった。
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次話の店長奮闘記へつづく
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店長奮闘記~登場人物紹介~
谷口店長(24歳)
一応この物語の主人公で郷土料理「旬」の新米店長。
猪突猛進で正しいことは正しいと突っ走るところあり。
武田料理長(42歳)
年齢もキャリアも店長よりダブルスコアで上のスーパーシェフ。
いつも店長を大人の目線で支えてくれる男の中の男。
池田キミ子さん(60歳)
店長が最も信頼を寄せ良き相談相手でもあるレジ(フロント)担当。
前職のお寿司屋チェーン店では店長で定年を迎え今はパート。
ケンちゃん(24歳)
店長とは同じ歳の調理スタッフ。お店ではみんなの
ムードメーカーとして調理場とホールの間を取り持つ優しい男。
佐藤くん(21歳)
専門学校を中退してフリーターへ。
とにかく真面目に精神誠意接客する優しい青年だが押しに弱い一面も。
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「なび・パートナー」
☆飲食店サポート事業☆ ハンドシェイク 代表 谷口 将之さん
http://ameblo.jp/handshake2/














