うまい酒と魚と人情 明石の立ち飲み繁盛中【神戸新聞】

「明石の酒屋の多くは立ち飲みコーナーがあって面白いで」。「神戸立ち呑(の)み文化研究会」の知人から聞き、明石小売酒販組合の岩井忠正理事長 のもとへ走った。昔ながらの酒店は市内に約180店あり、「感覚的にはその9割近くが併設しているのでは」。五つの蔵元があり、灘五郷に対し「西灘」と称 される酒文化の発信地。そして、有数の漁師町ならではの取れたての魚を使った料理が並ぶなど、夕暮れとともに、人情味豊かな酒屋はその輝きを増す。
「会話が一番のあて」。 ビールケースに座った客に焼酎がつがれる=明石市本町2 /十八日午後六時、魚の棚商店街に近い岩井酒本店本町店。「(十五日の)全国一斉休漁で客が遠のいてもうて」「漁師も大変やけど」。水産関係の仕事に就く男性二人がビールを飲み干した。
午後七時、約五百メートル離れた「リカークラブ ほそみ」。立ち飲みコーナーは売り場の奥にあり、隠れ家のようだ。
扇風機の下、居合わせたのは常連客五人。店主の子が顔を出すと、一人が「腹が減る時間だわな」と頭をなでた。コップに注がれたのはボトルキープしている焼酎だ。
多くの店では、ビール大瓶が三百円台後半。持ち帰りより割高だが、居酒屋よりは安い。明石市藤江の「岩井酒本店西明石店」で男性が勘定を済ませた。千三百五十円。「ようけ使ったなぁ」。周囲から声が飛んだ。

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■職住接近
「立ち飲みの原点は利き酒」。岩井理事長が言う。だから、利き猪口(ちょこ)にお薦めの地酒をグイッ-が基本だった。今は一杯目はビールや発泡酒が目立つが、地元などで醸造された日本酒をあおるのがご当地流だった。
漁師ら水産関係者の姿も。多くは港の近くに住む「職住接近」。過酷な作業をねぎらい、情報交換の場として定着した。
■取れたて
立ち飲みの定番はスナック菓子やするめ、魚肉ソーセージ。「昔は片手間にやっていた」と二見町で酒店を営む石井公雄さん。だが、規制緩和による酒販自由化で苦境に陥り、収入源として見直されるようになった。
立ち飲みなのにいすを用意する店や、家族らが飲食店免許を取って厨房(ちゅうぼう)を設け、居酒屋顔負けの料理を提供する店も。取れたてを生かした、アナゴの白焼きやタイのバジル風サラダなどが並ぶ。
「気が許せる仲間と何気ない話をしながら飲むのがいい」とある店主。人恋しさを満たし、一日の疲れを癒やしながら、明石の夜は更けていく。
(7/19 14:24 神戸新聞)














