ウィークリーコラム

大衆酒場に学ぶ繁盛哲学 〜横須賀 中央酒場その3〜

第三話

横須賀ホッピーはまるでドライマティーニ

《前号より》ちなみに、ホッピー唯一のメーカーであるホッピービバレッジが推奨する、基本的なホッピーの飲み方は、以下のようなものだ。まず焼酎とホッピーを冷やす。その上で、500mlはいるホッピーのオリジナルジョッキに、冷えた焼酎を100ml入れる。次いで、360mlのホッピーを一気に、全部入れる。泡がたち、空いた分の40mlは泡になるのだ。

 一方、「中央酒場」自慢のホッピーは違う。

冷蔵庫で焼酎とホッピーとジョッキをしっかりと冷やす。

その上で、ジョッキには焼酎を140ml入れる。

基本より4割増しだ。

最後に、ホッピー360mlをジョッキにゆっくり注ぐ。

泡がたつとジョッキからあふれてしまうので、泡がたたないくらいまで冷やし、ゆっくり注ぐわけだ。

最終的に、まったく泡なしで、なみなみと琥珀色の液体をたたえたホッピーができあがる。

これは、まるでドライマティーニのノリだ。

横須賀ホッピーは、ハードボイルドな飲み物なのである。

 こうしたホッピーを、注文に応じてどんどん供するために、

「中央酒場」には、焼酎とホッピーとジョッキを大量に冷やすための巨大な冷蔵庫が備えられている。

この巨大冷蔵庫の温度は、一般の冷蔵庫よりも低い。

ホッピーの飲み頃温度は摂氏3度と言われ、ビールの飲み頃の6度よりずっと低い。

キンキンに冷やしたほうが美味いのだ。

ゆえにホッピーは、一般の冷蔵庫で、ある程度冷やしておき、

その後、巨大冷蔵庫に移して冷やしたりもする。

よく冷えたホッピーの品切れを防ぐためだ。

 う〜ん。何かとすごく、きっちりしたシステムですねえ。

「まあ、あたしの性格上ね(笑)ただ、これより焼酎が多くなると焼酎くさくなるし、

ホッピーが多くなるとホッピーくささが出てくる。

140と360が一番良いバランス。

だから、それをお客さんに薦める。

自分も普段からその割合で飲んでるから、間違いないと思うんです」

 なるほどなあ。

ゆえに「中央酒場」のホッピーには本来、ナカ(追加の焼酎)というものは存在しない。

ジョッキには氷も入れない。

1杯1杯飲みきりで、飲むのが正しい作法なのだ。

おわかりか?

 

文:ライター桶谷 写真:ソウル久我山
取材協力:中央酒場
横須賀市若松町2−7 電話0468-25-9513 営業10時〜22時半 日曜祭日休み

 

 

次回
中央酒場編最終話『お客の胸中のシナリオに応える肴』は12月7日更新予定!!

 

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